漫画を描いている人間、桃井桃子です。
すかさず宣伝。↓から試し読みできます。
2024年は漫画を描いていました。2025年も漫画を描いていけたら嬉しいです。
さて、2024年下半期読んだ本の中からおすすめを紹介します。
・がらんどう
人生で一度も恋愛感情を抱いたことがない平井と、副業として3Dプリンターで死んだ犬のフィギュアを作り続ける菅沼。
2人組「KI Dash」の推し活で繋がったふたりのコロナ禍での共同生活は、心地よく淡々と過ぎていくが――
すごーくよかった!なんかどうにもならないけど諦めないことも諦めることも正解じゃないって。形が違おうが答えを出していく意味とか意義とか考えた。スマホが親指を照らすとか細かい描写が心地よい。
そこはかとなくボーイズラブの香りがした。大谷先生の書くボーイズラブが読みたい。
・あひる
我が家にあひるがやってきた。知人から頼まれて飼うことになったあひるの名前は「のりたま」。娘のわたしは、2階の部屋にこもって資格試験の勉強をしている。あひるが来てから、近所の子どもたちが頻繁に遊びにくるようになった。喜んだ両親は子どもたちをのりたまと遊ばせるだけでなく、客間で宿題をさせたり、お菓子をふるまったりするようになる。しかし、のりたまが体調を崩し、動物病院へ運ばれていくと子どもたちはぱったりとこなくなってしまった。2週間後、帰ってきたのりたまは、なぜか以前よりも小さくなっていて……。
あひるののりたまがぬるりと入れかわり、キッズは気づいてるけどコミュニティは残っている。Travis Japanが9人いて4人抜けて2人入ったけど同じTravis Japanとして扱われてることに私は違和感あるのを思い出した。だからSexy Zoneのメンバー変更に伴いtimeleszと改名したのは必要なことでぇ…
・慣れろ、おちょくれ、踏み外せ 性と身体をめぐるクィアな対話
「LGBT」に分類して整理したら、終わりじゃない。
「わからない」と「わかる」、「マイノリティ」と「マジョリティ」を
行き来しながら対話する、繊細で痛快なクィアの本。
ときに反抗的で、しなやかな態度は明日への希望に――。
主にLGBTについて対談してる本ですが、人間の視野が狭くなったり考えが凝り固まったり柔軟さが失われたりする感覚についての話題が結構あり、自分はどうかなーとたびたび考えました。
自分自身すらよくわからないのに他人のことなんてわからんよーむずいーとなる日々です。
・真昼なのに昏い部屋
せめて、きちんとした不倫妻になろう。
文体もお話も好きな作家だからもっと読めばいいのに…と自分に思った。
生活の動作を書く際に温度を入れる、銭湯とか換気とか。タイトルの昏いも「暗い」じゃないところに温度っぽさを私は感じる。「昏す」で「結婚する」という意味もあるので不倫妻として正しく生きる道を選んだ主人公・美弥子さんがジョーンズさんの部屋に不倫しに来るイメージが湧く。
不倫を疑われ家出をする美弥子さんは家具や食器と同じように家に属していた「世界から出てしまう」、ジョーンズさんは祖国帰属意識ないので元々「世界から出ている人」の対比とか、きちんとした不倫妻になった結果ジョーンズさんはどう思ったのかとか面白いよ~
・くるまの娘
17歳のかんこたち一家は、久しぶりの車中泊の旅をする。思い出の景色が、家族のままならなさの根源にあるものを引きずりだす。
ぶん殴られ血族ものって奈津川サーガを思い出してしまう。「推し、燃ゆ」読んだ時も舞城が~って書いてるんだよな。どことなく舞城に通ずるものがあると思ってるのかもしれない。構成が近いとか…?
同じ家にいながら、それぞれに怒りやかなしみがある。熟成されたものの違いでまた傷つく…
自立して家を出る⇒家の問題は解決しない。父と兄が同じ流れを歩んでいて、兄の妻・夏さんはこの後どうなっていくのだろうと思った。父の絶叫パートの勢いがよかった!
・踏切の幽霊
都会の片隅にある踏切で撮影された、一枚の心霊写真。
同じ踏切では、列車の非常停止が相次いでいた。
雑誌記者の松田は、読者からの投稿をもとに心霊ネタの取材に乗り出すが、
やがて彼の調査は幽霊事件にまつわる思わぬ真実に辿り着く。
表紙が怖い!「幽霊が大暴れしてくれる話だといいなぁ」と軽い気持ちで読んだら本当に大暴れしていて歓喜。
舞台は1994年の下北沢。作中に「2020年代とかもうみんな生きてないよなー」という描写を入れているのが、作中の事件が完全に過去であると断絶され、リアル小田急線ユーザー怯えを抱いたままにしない配慮となっていると感じた。あと作品全体の諸行無常感を象徴する描写でもある。
幽霊が大暴れする話なのに切ない読後感なのも独自の味がして良い読書体験。
地元ネタ、どうなるかわからない展開、怪異、てんこもりのエンタメでこれでも直木賞って獲れないんだ!?と作品とは別の部分でも驚いた。
事件発生の「1993年12月6日午前1時3分」←この時間が何度も出てきてキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!となるのが楽しい。
妻を亡くした主人公・松田は生前妻は不幸だった。自分が幸せから遠ざけてしまったと後悔しており、下北沢の幽霊も生前不幸だったから現れるのだろうか、が根っこにあるので事件の真相にたどり着くことは松田の救済にも繋がる。事件の真相・幽霊の救済・松田の救済の三本柱がある感じ。
霊の正体がだんだんと判明していく盛り上がりは熱い。
・うるさいこの音の全部
ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっていき……
文学賞を獲り職場に作家バレして同僚たちに作品と自分をごっちゃされ絡まれる様子など、大多数の人間が体験することなさそうなシチュエーションでありながらも、日常との距離は近い(ある日突然何かしらの大バズりをして有名人になったら…みたいな考えなくもない妄想)ので、烏滸がましいですが我が事気分で読めた。プロットなしに描かれていく早見有日の小説と。ゲーセンで働く長井朝陽の話が交互に載っていて、最初は早見作品から始まるので「わっなんか嫌な内容か…!?」とドキドキしたが、はやい段階で文中にメモ書き(「ここ直す」みたいなの)が入るので「これフィクション内フィクションか!」と安心させられた。
舞城読者の私は、実際に芥川賞獲った人による芥川賞獲った人の話というメタメタな内容に舞城も芥川賞獲ってたらネタにしたかしらん~とか思いました。
人間・作家・作品の内容を混同する人立ちがたくさん出てきて、主人公自身も佐飛君を読まれるために作家の価値をあげようと細かな嘘をつくようになっていくんだけど、アイドルやVtuberとか虚像を売りにする人たちを楽しくあるいは苦々しく読めそう。
昔、好きなニコ生主が「配信を見てプロファイリングをするのをやめろ」と真剣な口調で言っていたのを思い出した。
あと、主人公がネットで自分の作品の感想読んだら「よく分かんなかった」というのがあって頭をかきむしる場面は、私が「ハンチバック」の感想検索したら「あのオチなんですか?」というのが出てきたのも思い出した。
主人公は「人に嫌われたくないけど、人に嫌われるようなことを書くのは平気だから不思議だ」と考えられていたので、これからも書きまくってほしいよ。
・さよなら、スパイダーマン
5年前、ジェイミーの姉、ローズは、イスラム過激派によるロンドン同時多発テロに巻きこまれて亡くなった。それ以来、父さんは酒におぼれ、母さんは家を出て行き、家族はばらばらになってしまう。10歳になったジェイミーは、ローズと双子だったもうひとりの姉、ジャスミンと父さんといっしょに、ロンドンから湖水地方に移り住む。環境が変わっても、父さんは相変わらず働かず、ローズの写真をながめてばかりいる。父さんにとっていちばんたいせつなのは、そばにいる家族ではなく、暖炉の上に置かれたローズの遺灰が入った壷なのだ。そんなやり場のない気持ちをかかえたジェイミーを救ってくれたのは、父さんがもっとも嫌うイスラム教徒の女の子、スーニャだった。
家族を亡くすお話というのはよくあるっちゃあるけど、主人公・ジェイミーは5歳で姉を亡くしているので、姉の死に対してぼんやりとした印象で、生きている双子の姉ジャスが大好きっていうのがなんかすごく新鮮に感じた。どうしても死者は美化され大切になってしまうので。死を乗り越える話ではなく知っていく物語だと思った。
父親は亡くなったローズをずっと欲していて、それに対してジェイミーは「父さんは10歳の娘が欲しいけど、ぼくは10歳で、姉は女だけど15歳、ローズは10歳だけど死んでいる…」と考えているのが素直!
終始ジェイミーの瑞々しい視点で物事を見せられる。「キャッチャー・イン・ザ・ライ」読んだときと近い感覚だった。
・母親になって後悔してる
子どものことは愛している。それでも――。世界中で大反響を呼んだ一冊。
もし時間を巻き戻せたら、あなたは再び母になることを選びますか? この質問に「ノー」と答えた23人の女性にインタビューし、女性が母親になることで経験する多様な感情を明らかにする。女性は母親になるべきであり、母親は幸せなものであるという社会常識の中で見過ごされてきた切実な想いに丁寧に寄り添った画期的な書。
読むのに時間かかった。色んな人間が出てくる。役割(母)と存在(子)は別の軸で考える人が多くてほーんとなる。
役割と存在が別で、母であるかそうでないかのゼロサム・ゲームだから子どもの数は関係ないよ。圧力で複数人産んだよ。子どものために複数人産んだよみたいな…とにかく色んな人間が出てくる。
「ボーはおそれている」を観て、子ども視点の話を観たから母親視点の何かを読みたいな!と思って読んだ本です。国も人も漠然としたイメージの状態になってしまっているのが原因で読み進めるのが遅くなった。今後、イスラエルについて知れる本を読みたい。
・汚れた手をそこで拭かない
保身や油断、猜疑心や傲慢。
内部から毒に蝕まれ、
気がつけば取返しのつかない場所に立ち尽くしている自分に気づく。
凶器のように研ぎ澄まされた“取扱い注意”の傑作短編集。
あーあ、みたいなオチがやってくる短編集。痛快TV スカッとジャパンが逆転したみたいな…
自分も「なんでこっち選ぶ!?」みたいな変な後悔が多いので、あるあるとして読めてしまったのが良かったのか悪かったのか…
そこはかとなくボーイズラブの香りがした。芦沢先生の書くボーイズラブが読みたい。
・日々是作文
31歳の私に、10年後の私をこっそり教えてあげたい──。離婚して仕事もお金もなく、実家に寄生するしかなかった31歳。直木賞を目標にかかげて、胃痛に苦しみながらも、必死で作品を生み出しつづけた30代中盤。念願の直木賞を受賞した38歳。ずっと一人で生きていくと思っていた矢先の、39歳での再婚。幸せな生活のはずが、うつ病で入院してしまった40歳。絶品の恋愛小説で読者の心をゆさぶる著者も、様々な葛藤を抱えながら生きてきた。心に沁みるエッセイ集。
山本文緒が好きだなぁ。たくさん寝たり、買い物で鬱憤晴らしたり、いやなことはしないとかぁ。ああでももういない人なんだなぁ、と。
本能と理性の強さ両方を書ける作家だからまじで最強なんだ!
・お笑い芸人 入門百科
人気・実力を兼ね備えた大人気芸人たちの協力があり、
かつてないほど網羅的で、豪華な、
「お笑い」の全てを学べる本が完成しました!
いま大注目のコンビ「エバース」を
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